それからしばらく、雨夜くんの助言を意識して練習を繰り返すうちに。
――パシッ。
「あ……!」
「うん! いいね永田さん」
わたしはコツをつかんで、ゆるいパスを受けられるようになってきた。
パスだけじゃない。そのあとはドリブルもシュートも、雨夜くんが的確なアドバイスをしてくれたおかげで、かなりマシな形に落ち着いてきて。
「ちょっと休憩しようか」
雨夜くんのひと言で、わたしたちは公園のベンチに並んで腰をおろした。
前にも座ったベンチ。あのときは距離をとっていたけれど、今のわたしと雨夜くんの間は、拳みっつ分くらいにせばまっている。
「はい、永田さん。これ飲める?」
「わ、ありがとう……!」
雨夜くんが、自分のカバンに入れて持ってきていたスポーツドリンクを手渡してくれた。
感謝しつつ、喉に流し込む。体の細胞がうるおって、生き返っていく。
「……おいしい! 運動のあとって、すごくおいしく感じるね!」
「うん、ほんとに。永田さん、だいぶコツつかんできたね」
楽しげに笑う雨夜くん。
会っているのが図書室でなく、空の下だからだろうか。今日の雨夜くんは、やっぱりまばゆさが増量している気がする。


