気負わなくていい、といっても、今からこちらにボールが飛んでくると思ったら、肩全体の筋肉がかたくなる。
鋼のようにかためていては、当然、スムーズに手が出るわけもなくて。
「~ひゃっ⁉︎」
ボールが飛んできた瞬間。恐怖に負けたわたしは、目をつむって思いっきり体をそらしてしまった。
――テン、テン、テン……。
受け口をなくしたボールは、地面に落ちてむなしくはねる。
「あ……」
背中が冷たくなったあと、体温を取り戻すかのように顔がぶわっと熱くなった。
よけるなんて、ドッジボールじゃあるまいし。
自分の低レベル具合に、初っぱなから絶望的な気持ちだ。
雨夜くんも、絶対引いたよね……?
あごを引いたまま、目だけを動かして雨夜くんに視線を送る。
けれど雨夜くんは口元を引きつらせたりしておらず、「……なるほど」と真面目な表情でうなずいていた。


