「じゃあ、行こうか」
へへ、とよくわからない笑みを浮かべていると、道のアスファルトに降り立った雨夜くんが、わたしに手を差し出してきた。
「……っ」
心臓があらぬ方向に跳ね、目を丸くして固まってしまう。
え……手? 手をつなぐってこと?
そんな。どうしよう。いや、つなぐというか、引っ張ってくれるつもりなのかも。
わたしにとってはまだ慣れない土地だから、引っ張って公園まで連れていく、みたいな……?
どぎまぎと、ロボットみたいなぎこちない動きで、雨夜くんの手のひらに自分の手をのせる。
すると雨夜くんが、不意をつかれたような顔をした。
「あ……」
「えっ」
「えっと。カバン、持とうかと……」
「……!」
それを聞いた瞬間、ボッと顔面上で噴火が起きた。
「~ご、ごめんなさい……!!」
あわてて手を離し、後ろに飛びのく。
「あのっ、わたし、か、勘違いして……!この前みたいに引っ張ってくれるのかなって、あの」
「つなぐ?」
「え……ええ!?」
「はは、冗談だよ」
雨夜くんは楽しげに笑うと、わたしの手からふわりとカバンをうばった。


