たった数日間の帰宅が、学校の様子を一変させるとは思いもしなかった。

 寮に戻って来たのは昼頃。
 もう寮内には誰もいない。 すぐに学舎へ向かおうと扉を開けたところで、既に学舎にいたジャクリンが寮の部屋へと慌てて戻って来た。

「フロタリア様、良かった。 戻って来られたのですね」

 ジャクリンは私を押し込めるように、開けた扉をすぐに閉めた。

「ジャクリン、どうしたの?」

「フロタリア様がお戻りになったと聞きまして。 今日は学舎の方にはいらっしゃらない方がよろしいのでは、と」

「あら、それはどうして?」

「もちろん、フロタリア様の為ですわ」

 ジャクリンがそういう言い方をするのは、ネヴィル様について何らかの噂が飛び交っているからなのだろう。 もしかすると、本人達の口から発表でもあったのかもしれない。
 だとしたら、傷つくのも嘲笑の的になるのも私。 ジャクリンならきっと避けるようにしてくれるはずだ。

「私が行かない方がいいと言うのは、ネヴィル様が関係しているからなのね」

「フロタリア様は本当に純粋な心の持ち主でいらっしゃるのですね」

「え?」