「起きて下さい、フロタリアお嬢様」

 窓から差し込む陽が私の目を直撃する。

 侍女がカーテンを勢い良く開けたせいで、暗かった室内に明かりが何の躊躇いもなく、入って来た。

「う、ん……眩しい」

 私は陽射しを手で遮りながら、片目だけ開ける。

「もうお日様はあんなに高い所ですよ。 いい加減に起きて下さい」

 侍女は私がいつまでも起きない事に焦れたらしい。

 苛々しているのは私のせいだけではないでしょうに。

「何を朝からそんなに怒っているの? 旦那様が女遊びでもしたの?」

 軽口を叩きながら、上半身を起こして侍女の用意してくれたモーニングのトレーを上掛けの上に乗せる。

 今日は柑橘類の搾り立てジュースとクロワッサン、そして濃い目のコーヒー。 私の定番朝食だ。

「フロタリアお嬢様、どんな夢を見てらっしゃったのですか?」