目を開けて視界も思考もクリアになっていくと、自分の置かれた状況が徐々に把握できていく。

 私は産まれ育ったホワイト家の自室の寝台に横たわっていた。

「お姉様、私がわかる?」

 寝台横、前屈みで私の顔を覗き込む彼女は泣きそうだ。 まるであの時の侍女と同じように。

「ロー、ジー……?」

 大人びて美しく見えるのは夢を見ていたからかもしれない。

「俺がわかるかい、リリィ」

 その隣には私の婚約者、愛する人がいる。
 彼が大人びて男らしく見えるのは私の想いがそうさせるからだろうか。

「ロナウド……どうなさったの?」

「お姉様、すぐにお父様とお母様がいらっしゃるわ。 それにお医者様も」

「お医者様……?」

 長い、とても長い夢を見ていただけなのに、どうしてそんな顔をするのだろうか。

 嬉しいような、悲しいような、まるで戸惑っているような。