甘い毒に溺れ堕ちて

再度腕を掴んで詰め寄る。


頑固? しぶとい? 物分かりが悪い?

いいよ私のことなんか。好きなだけ貶せば。


けど、今はそういうことを言いたいんじゃない。



「聞くのと受け入れるのとでは訳が違うんだよ!?」

「ちょっ、放し……」

「今のお友達と離れ離れになるかもしれないって、ちゃんと話したの!?」


「ギャーギャーギャーギャー、うるっせーなぁ」



突如乱入してきた不機嫌丸出しの声。

ドアのほうを見たら、険しい顔を浮かべた風斗が立っていた。



「真っ昼間から喧嘩すんなよ。近所迷惑だろ」

「いや……喧嘩というか……」



かくかくしかじか。

私の話は伏せて、簡潔に口論の内容を説明した。



「風斗からも何か言ってよ」



すがるように両腕を掴む。


小学校を卒業したタイミングで反抗期に入った風斗。

会話はめっきり減ってしまったが、あの子たちにとっては優しいお兄ちゃんだ。


説得してくれるはず。助け舟を出してくれるはず。