甘い毒に溺れ堕ちて





当時若きエリート建築士だった父と、駆け出しのイラストレーターだった母。

行きつけのカフェが同じだった2人は、お互いの感性とセンスに一目惚れし、出会って1年で結婚。

ほどなくして俺が生まれた。


両親が言うには、赤ちゃんの頃から小学校に上がるまでの間……のちの実家が完成するまでの間、この家で暮らしていたらしい。


母方の祖父母にとっては2番目となる孫だったのだが、父方の祖父母にとっては念願の初孫。


内緒でお小遣いをくれたり、おやつを買ってくれたりはもちろんのこと。

祖父は、入学祝いに手作りの本棚をプレゼントしてくれて。

祖母に関しては、似顔絵を描いた際、『将来は世界一の画家さんね!』とベタ褒めし、額縁に入れて飾っていたほど。


だから俺も、せめてもの恩返しにと、毎年2人の誕生日には手作りのプレゼントを贈っていた。


大好きだった。

帰省の時期が待てなくて、親に内緒で電話をかけて遊びに行くくらい、大好きだった。


──だけど、母だけは違った。