甘い毒に溺れ堕ちて






話を終えて一段落ついた後、藍くんの部屋まで案内してもらった。



「すみません。お忙しい中、お手数をおかけしてしまって」

「ううん。何かあったら台所にいるから。あの子のこと、よろしくね」



柔らかな笑顔で虎珀さんはそう言い残すと、キッチンへと戻っていった。

『あい』と達筆な字で書かれたドアプレートの下を、コンコンコンと3回叩く。

するとすぐ、「はーい」とおばあさんの返事がしてドアが開いた。



「あらっ。ええと……まあやさん、だったかしら?」

「はい。お取り込み中のところすみません。アイさんは、今こちらにいらっしゃいますか?」

「ええ。ついさっきご飯食べたところよ」



ちょうど下膳の最中だったらしい。

丸いおぼんには、空になった食器と小さく畳まれた紙パックの野菜ジュースが乗っていた。


「ごゆっくり〜」と微笑んで部屋を出る彼女に会釈し、ドアの隙間から声をかける。



「……入ってもいい?」

「どうぞー」