甘い毒に溺れ堕ちて

ふと目をやると、虎珀さんの肩が小刻みに揺れていた。

そこでようやく、成見家の話から、藍くん個人の話に変わっていたことに気がついた。



「すみませんっ。脱線してしまって」

「ううん。むしろ嬉しいよ。高校に上がってからは、2人きりの時ぐらいしか話さなくなってしまったからねぇ」



穏やかな笑みを浮かべ、指先で目尻の涙を拭う虎珀さん。


クールで爽やかな雰囲気の藍くんとは違って、凛々しく厳つい印象の顔立ち。

ガタイの良さも相まって、一見似ていないように感じるけれど、笑った時の目の形は藍くんとそっくり。


微笑ましく温かい気持ちになる一方、同時に切なさも込み上げてきて……。



「あの……」

「ん?」



麦茶のグラスを握りしめ、彼の目を真っ直ぐ見据える。


長らくベールに包まれていた真相に関しては、彼の告白によって明らかになった。


まだまだ聞きたいことは山ほどある。

新たに生まれた謎も解明されていない。


けどまずは、あの日、伝え損ねた事実を話すことのほうが先だ。



「おばあさんのことで、お伝えしたいことがあります──」