甘い毒に溺れ堕ちて

床に腰を下ろすやいなや、深々と頭を下げられた。



「ここは……藍くんが暮らしているおうちで合っていますか?」

「はい。まだ移住して1年余りですが……正真正銘、あの子の──僕の息子が暮らしている家です」



おもむろに口を開いた彼から、馴染みのある単語が飛び出した。

そして、ハッキリと告げられた関係性。


──曖昧で断片的だった情報が全てつながった。



「藍から、我が家については何か聞いた?」

「はい。共働き家庭なのと、一人っ子なのと……」



1つずつ、指折り数えながら。

夏目くんから得た情報とごちゃ混ぜにならないよう、藍くん本人から教えてもらった話だけに焦点を当て、答えていく。



「担当の美容師さんと仲が良くて……」

「砥上さんのことかな?」

「はい。時々一緒に遊んでいると聞きました。あとは、煮魚と海藻が好きで、卵焼きは甘め派で……」

「うんうん。他には?」

「他は……あっ、連休中に大掃除に駆り出されたとも聞きました」