甘い毒に溺れ堕ちて

ありきたりな感想が口からこぼれたのと同時、ポロッと涙が1滴手の甲に落ちた。


数百円のアイスクリーム1つで感涙する。

ワンピースの時といい、つくづく安上がりな人間だなと思う。


だけど、自分の家を貧乏だと感じたことは1度もなかった。


1日3食食べられているし、学校にも毎日通うことができている。

スマホも、高校入学のお祝いにと、他の同い年の子と比べてかなり遅いデビューだったけど、毎月問題なく使えている。


借金取りに追われることも、怯えることもない。

一般的な共働き家庭。多少不満はあっても衣食住は一応満たされている。


ただ、4人も子どもがいると、そう頻繁に贅沢するわけにはいかないから。



「美味しいなぁ。私ってばすっごく恵まれてるなぁ」



自己暗示をかけるように呟いて、脳内に愛しい人たちの顔を思い浮かべる。


晴日と晴月からは、折り紙で作られたショートケーキ。

茉耶からは、淡いピンクのシュシュ。


お父さんに関しては、私が生まれた時間に合わせてお祝いメッセージと、さらにスマホで使える図書カードまで送ってくれて。


藍くんからも、『おはよう真彩ちゃん。誕生日おめでとう』と電話越しで祝ってもらえた。