それから、あの発言をしたメンバーには辞めてもらった。表向きは、仕事をちゃんとこなしてくれないから。
でも、本音は少し違った。

「社長」
「何?」
そのメンバーを辞めさせた次の日に、彼女から話しかけられた。
少し、胸が痛む。
「あいつ、辞めたんですか?」
あいつとは、そのメンバーのこと。
「ああ……別のことをしたいからって……」

嘘を、ついた。

「そうなんですね。あの人仕事雑で、あまり好きじゃなかったから、少し苦手だったんですよ」

彼女の言葉に、ほっとする自分と、今すぐ逃げたい自分が同居していた。

あいつは、君を狙ったから近づけたくなかった。
これが本音。
否応でも自覚させられた、10歳も下の……つい最近まで少女だった君への恋。

僕はこの日から、君に嫌われるのが怖くて、君に近づけなかった。