因みに、私がこの男に幻滅した理由は、彼の行きすぎたロマンチストっぷりと、女への夢を見すぎているところだった。

初めて二人で飲んだとき、彼の恋愛観にドン引きした点とは。

「実を言うと、俺は未だに初恋が忘れられないんだ」

そう言っていた。

「ふーん。相手、同級生か何か?」

「いや…。同世代ではあるはずだけど、名前も知らない、何処の誰かも知らない相手だよ」

「は…?」

そんなことを真剣に語られ、私はドン引きしたわけである。

「一目惚れってやつだよ。ほんの一瞬、目が合っただけで、心奪われて…それで今に至るってわけ」

この人…おかしい!

そう思い、ちょっといいと思っていた気持ちは、完全に消えた。