追体験アプリ

☆☆☆

私はもしかしたら備考の才能があるのかもしれない。


3人に気が付かれないままボーリング場へ入ったときにはそんな自信がついていた。


3人はボーリング場の受付に向かい、私は隣のゲームセンターに隠れていた。


周囲はうるさくて3人がどんな会話をしているのかわからない。


話を聞くことができれば弱みでも握ることができるかもしれないのに。


そう思ってあたりを見回してみると、ボーリング場の方に小さなカフェがあるのがわかった。


そこで飲み物を購入してボーリングをしながら楽しむことができるみたいだ。


私は3人がレーンへ向かったのを確認してから早足でカフェに向かった。


ボーリング場には他の人達のプレイを確認している人たちもいるから、コーヒーでも飲みながら観戦していてもおかしく思われないはずだ。


カウンター内にいるお姉さんにアイスコーヒーを一つ注文して、それを持って何気なくレーンを眺めるふりをする。


夕里子たちは3番レーンに入っていて、さっそくプレイを開始していた。


ちょうど3番レーンの近くにはテーブルが設置されていて、そこでコーヒーを楽しむことにした。


周囲の喧騒に混ざって3人の会話がかすかに聞こえてくる。


周りがうるさいせいで、3人も結構な大声で会話していたことが幸いしたみたいだ。