昼休憩になると真純が教室に戻ってきた。


何針も塗ったようで右手には包帯がグルグルにまかれている。


それでも学校に戻ってくるのだからやっぱりすごい気力を持っているみたいだ。


でも、あんな右手で多美子をイジメることなんてできないから、ひとまずこれでいいんだ。


お弁当を多美子たちと一緒に食べたあと、私と多美子は2人でトイレの個室に入っていた。


「こんな風に狭い個室に2人で入るのって久しぶり」


多美子が昔を思い出すように言う。


そういえば小学校の頃内緒の話をするときなんかはトイレの個室を使ったりしたっけ。


「真純のあれ、有紗がやってくれたんだよね?」


頷くと、多美子が慌てた様子で私の右手を確認してきた。


そこには小さな絆創膏が一枚はられているだけで、多美子は安心したように息を吐き出した。


「傷はこれだけ?」


「そうだよ。それなのに真純はあんなことになったの。すごいと思わない?」


「確かに、すごいね」


「ねぇ、次は夕里子だよ」


私はスカートのポケットからカッターナイフを取り出していった。


多美子の表情が険しくなる。


「またどこかを切るつもり?」


「だって、さっきの真純面白かったでしょう?」


うまく行けばあいつらの命を奪うことだってできるかもしれないんだし。