「動画撮ってたとか最低」


夕里子にそう言われたが、それは心外だった。


あの異様な状況を説明するために動画は必要なものだった。


先生たちにも咎められることはなかったんだし。


私はわざと動画の音量を最大にして、更に含み笑いを浮かべて3人の反応を楽しんだ。


由希も夕里子ものぼせたように顔が真っ赤だ。


1人だけ真純は冷静な表情をしていたが、勢いよく立ち上がったかと思うと私の頬を殴りつけていた。


それはとんでもない強さで私の体は少し吹き飛ばされて後ろにあった机ごと倒れ込んでいた。


大きな音が教室中に響き渡り、数人の女子生徒たちから悲鳴が上がった。


真純のパンチは由希たちの比ではなく、口の中が切れて血の味がしてきた。


ビリビリと痛む頬を抑えながら私は笑いだしてしまいそうなのを必死で我慢した。


あ~あ、やっちゃったね。


これがそっくりそのまま自分に戻ってくるなんて、考えてもいないんだもんね。