わたしの家族のはなしは誰にも理解されない。
兄弟の劣等感や親への違和感を誰にも分かってもらえない。
でも、それはわたしの周りの友達や家族が幸せな家庭だから。
離婚するかもとか、家族仲悪いよなんて言ってても、中身はちゃんとした家族だから。

もしもわたしが、
わたしのような友達がいたら。
わたしになんて声をかけていただろう。
どうやって心に寄り添っていただろう。

心の中にある相手を信じたい気持ちと、裏切られたくないっていう気持ちと葛藤しながら気づかず生きているわたしに、なんて声をかけていただろう。

わたしだけはあなたを裏切らない。
どれ程過去に傷ついたり、悔しかったか分かんない。
でも、決して裏切らない。
信じたい気持ちも、一生懸命頑張って伝えてくれたひと言も全部聞く。
泣き止まなくていいし、好きなだけ泣いたらいい。
疲れて眠ってまた泣いて、起き上がって思い出してまた泣いてもいい。

だからもう自分を許して、自分を愛して。
自分を出来損ないの役立たずの何もできない人間なんて思わないで。
どれだけ褒められても、首を振って受け入れない人間にならないで。

悪いことをしたら反省したらいいし、後悔してもいい。
でも、生きている価値が無いなんて思わないで。
どんなに苦しくても、生まれたことを喜べなくても、この先も孤独だと思い詰めてしまっても、どうか死なないでほしい。

生きて。

この先、幸せが続くか、不幸が続くかなんて分かんないけど、一緒に生きていこう。





彼女の言葉が今も脳裏に焼き付く。
誰かに救って欲しくて、最後の望みで伸ばした手は、誰の視界にも入ることができなかった。

誰かに看取られることもなく死に、気づかれず時間が経ってしまい、身体が腐りかけてはじめて父親が彼女を発見している。

彼女が誰からの愛をどれ程欲していたのかは、もはや明白である。