「杏奈!」


その時、影から誰かが飛び出して来て
突然腕を掴まれた。


「晴人!?」


そこにいたのは晴人だった。


自力で川口組から逃げだして、消息が分からないと小池さんが言っていたけど…


よかった。


生きてた。


「何とか逃げ回ってたんだけど、ここに来る途中につけられてたみたいで…」


晴人は辺りを見渡しながら、少し怯えているように見える。


「さっき、あいつらに杏奈が連れ去られて、どうしようかと思ってたんだよ。」

「…??私は家にいたけど…」

「なんだ、杏奈じゃなかったんだ。まじでよかった。」


晴人は少し安堵のため息をつくと、私を思わず抱きしめようとした。

私と目が合うと、我に返って、両手を上にあげた。


なんというか
義理堅いというかなんというか…