「こんにちわ、あら……副団長様、いらっしゃったんですね」
「はい、すみません」
王宮医師兼治癒師のエマという女性で、30歳だと言っていた。彼女は、私のことを診てくれている。
「メル、また来る。医師様、よろしくお願いします」
「ええ」
ギルバード様が出ていくと、診察される。
エマは、あの日に私が妊娠する可能性はあるか調べてくれた人だ。彼が助けてくれたおかげで最後までされることはなかったからもちろん妊娠の可能性はゼロだった。
「散歩に行かない? 今日はとても天気がいいのよ」
「……いいです、外に行くのはまだ」
あれからこの部屋から出ていない。最初、一度だけ出たことがあったが体の拒否反応を起こし怖くなって部屋に急いで入ってしまったのだ。
「こんなんじゃ、ダメだってわかってるんだけどなぁ」
助けてもらえただけでもありがたいのに、こんなわがまま言って……ギルバート様に嫌われてしまう。
もう嫌われちゃってるかもしれない……だって、キズモノだし。