「今更なぜ探しているんだ、追い出した本人でもあるだろう」
「ああ……まあな」
何を考えているんだ、あの王子は……。父さんから聞いた話では「聖女ではない」と言い放ち、「追い出せ」と言ったらしい。当然、メルはここがどこなのかわからないまま彷徨っていたらしい。
そりゃそうだ、目が覚めたら違う場所にいて初めて会った人に「いらない」と言われたんだから。
「だが国王が聖女様を隠してると聞いている」
今は、セダールント家で養女となり暮らしているが見つかったら彼女に自由はない。一生、王宮で閉じ込められながら暮らさないといけなくなる。
「俺らには関係ない話だがな」
「……そうだな」
メルがうちにいるのを知っているのは国王陛下に両親、俺だけだ。
「さ、寝よう。明日も朝早いんだから」
「そうだな、おやすみ」
俺は、灯りを消して彼女に思い馳せながら眠りについた。