「はーい」


 私はそのパン屋の一人娘、双葉 愛瑠(ふたば める)。春に製パン専門学校を卒業したばかりだ。


「メル、クロワッサンも焼けたよ」

「あっはーい!」


 お父さんに返事をしてお客様に「何か有ればお呼びください」と言い厨房へ向かった。

 夢だったパン屋さんで働くことも叶い、充実した毎日を送っている。

 楽しくて楽しくて、仕方ない。


「お父さん、前掃いてくるね」

「おぅ、ゴミも出しといてくれ」


 お父さんが指を差したゴミとホウキを持ち裏口を出ると、不思議なマークが地面に現れ光った――。