ニコラさんはカバンから一つの麻袋を取り出してテーブルに置いた。
「拝見してもよろしいですか?」
「ええ。もちろんです……きっと馴染みのあるものです」
私は麻袋の紐を解くと中を見た。え、これ……
「これ、お米ですよね?」
中には、玄米がぎっしりと入っている。
「はい。やっぱりご存知だったんですね」
「もちろんです。あっちの世界にいた時には毎日一回は食べていたので」
「そうなんですね! じゃあ調理法も知ってるんですか?」
調理法って白米を炊くってことかな。
「はい、一応は」
「本当ですか!? 実は、調理法がわからないので全く売れないんです……なんか美味しくないですし、ドロドロだし」
ドロドロ?
「どうにか方法を探していて……そしたらウィリアム王子があなたのことを教えてくださって!」
「そうなんですね、じゃあ炊いてみましょうか?」
「今からできるんですか!?」
「そうですね。あ、でもこれ玄米なので六時間ほどお水につける必要があります」
私が習った炊き方は、玄米なら鍋に玄米と共に水を入れて一晩寝かせてから鍋で炊くと言ったやり方だ。きっとあってるはずだ。