あっちに帰れば、この世界のことを忘れる。ということは、もうギルバード様のことも初めて経験した恋心も全て忘れてしまうということだ。

 だけど、こっちにいればギルバード様と一緒にいられる。


「さあ、どうする? 君は、何を選ぶ?」

「私は――を選びます」

「本当にいいんだな? 後悔しないな?」


 私は、頷くと神だと言った彼は私の額に親指を当てトンっと押した。すると、風が吹き着ているワンピースが揺れた。


「またな、メル・フタバ。この世界の者たちを頼むぞ」



 そう言って神様は消えていった――……。


「……ん……っ」


 私が目を開けると、目の前には心配そうに見つめる彼がいた。