「……早く王宮料理食べたいんだろう? 腕組んで」


 ギルバード様が腕を差し出す。私は、腕の内側に軽く手を添える……んだよね、これで合ってるのかな。


「上手いな、他の令嬢に劣らない。幼い頃から教育を受けてるようだ」

「ありがとうございます。始めたのはこちらに来てからですのでまだまだ勉強中の身です」

「謙虚だな、メルは笑っていてくれたらいい」

「はい」


 この世界の礼儀作法・教養を学んだ上で分かったことは男尊女卑だということだ。
 だが女性は一歩下がり、男性を立てる……という日本とは違い女性は花のような存在で、まるで絵本の中の姫と騎士のような感じだ。


「両陛下と王太子殿下に挨拶に行こう」

「はい。アイリーン王女様はこの場にはいらっしゃらないのですか?」

「あぁ、主役だからな一番最後に婚約者殿と会場入りされる」

「そうなんですね」


 私とギルバード様は、両陛下と王太子殿下に挨拶に行った。王妃殿下はあまりいい顔はしなかったが、国王様に挨拶出来て一安心だ。