「…というわけでお父様、私、エレノア・ビクターは、リアム・コックス公爵との婚約をなかったことにさせて頂きたいのです」

屋敷に戻った私は、先程までの経緯を一部始終父親であるトーマス・ビクター伯爵並びに私の誕生日を祝いに訪れていたリアムの両親であるコックス公爵夫妻にぶちまけた。

えぇ。そりゃ、もう洗いざらい。

「何ということだ…」

私の話を最後まで聞いた父はワナワナと怒りで肩を震わせている。


「リ、リアムがそんなまさか…」


リアムの母親、リリィ公爵婦人の顔からはサーッと血の気が引いていく。

そんな婦人の肩を支えるのは、リアムの父親であるバスティーユ公爵だ。

「…エレノア嬢、先ほどの話は全て真実なのですか」

「…はい。私も信じたくはありませんがリアム様はシャーロットと…申し訳ありませんが私もそんな光景を見せつけられてこのまま何もなかったことにはできません」

ギュッと握りしめた手を震わせ、私は必死に訴える。