後ろから女性が叫んでも山吹は一切聞き耳を持たない。


「でも」
「いいから帰りますよ」


わたしの肩を支える山吹の手の力が強くなる。


「待ってよ!ねぇ!また置いていくの!?」


叫ぶ女性の声は聞こえたが、追いかけては来なかった。

嵐のような出来事のせいで、デートの時の熱はすっかり冷めていた。

こうしてわたしの初デートは幕を閉じた。