*


「へえ、よかったじゃん」


唯人と付き合ったことを真っ先に朱莉に報告したかった。だって――


「まあ?あたしのアドバイスのおかげってことで、今度なんか奢ってよね!」



たしかに仰る通りです……。




「花ー恋っ、何で彼氏とお昼食べねーの」


拗ねた顔の唯人。


「な、なんでって、いつもお昼は朱莉と食べてるしい?」



「あー、はいはーい。お二人でどーぞ。いちゃいちゃしてんのなんて見てらんないし」


「あ、朱莉ぃぃ」



「何、嫌なの?「そんなことはない!!」


あ、即答しちゃった……。なんか恥ずかしい……。




「ふーん――あ、抱きしめていい?」



「――いいわけないでしょ!!」


TPO考えてよっ!みんな見てるんだから!



*



【明日なんか用事ある?】


唯人からだ。

明日?明日は日曜日か。特に、ないよね。



【特にないよー】



【じゃあ駅前に10時ね😊】


😊ってなに!!😊って!!



――え、これってもしかしてデート……?



*



当日まで着ていく服に迷って、家を出たのは待ち合わせの五分前。


五分で着いた記憶がない。どうしよう。



「ご、めんっ、遅れ、た……っ」


「いいよ、急だったし。……もしかして着ていく服に悩んでた?」


ず、図星だ。ていうか、なんでわかるの。


「……っ、可愛いすぎ」



次の瞬間、抱きしめられていた。


今 絶対 顔 真っ赤だ。



「ごめん。可愛かったから、つい」



つい、で抱きしめられたら私の心臓もたないよ……。




「まずどこ行きたい?」


「うーん、……遊園地っ!」


新しくできたっていってたから気になってたの。



「新しくできたってきいてたから、俺も行ってみたかった。
歩きじゃ流石にキツいから電車で行くか」




「ん」


ほら、と言わんばかりに手を差し出される。


ずっと手握ってたらドキドキしすぎて倒れちゃいそう……。



すると強引に握られた。


「何、手握るの、嫌?……まあきっと手握ったらドキドキしすぎて倒れるかとか心配してるだけなんだろうけど」



え、この人エスパー?私の心読んだよね今。



「別に、心なんて読まなくてもわかる。――好きだから」


……っ、絶対心読んでんじゃんって驚きより、最後の一言の嬉しさが勝った。



「今すっごく顔真っ赤だけど?……絶対にその顔を他の男に見せないでね」



「……?」



「そんな顔されたらみーんなキスしたくなっちゃうかもな?」



まあさせないけど、と付け足す。