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たまたま買い物に行った帰りに、花恋と大崎が歩いているのを見た。


彼氏ってのはあいつだったのか。じゃあ、花恋はなんですぐに告白の返事をくれなかった。彼氏がいたらすぐ返事すればいいのに。


全く想定していなかったから、焦って逃げてきてしまった。



かっこわりぃな……。


俺、もうどうしたらいいのかわかんねえよ……。




放課後、帰ろうとしたら、自分の机に紙が入っているのが見えた。


俺はいつも机を空にしているから、入ってるはずがないんだけど。



ん?なんだこれ……『今日の放課後、校舎裏で待ってます』……?


見たことない字だから、違うクラスか?

校舎裏ってことはたぶん告白だな……人生でされた告白のうち、半分くらいが校舎裏だったから。



校舎裏って地味に行くの大変なんだよな……。



そんなこと考えていたら、校舎裏に着いた。

そこにはもう人がいた。




そこにいたのは―――




花恋だった。






「唯人っ!!」


俺は、思わず踵を返した。



「ねぇ、待って!話があるのっ!お願い行かないで!」


「……わかった」


そんな必死に言われたら止まるほかないし。


わかってる、告白の返事なんだろうな。

断られるのも、わかってる。


聞きたくはないけど……今逃げるほうがかっこ悪いよな。





「私――唯人のことが、す、好き……です」



「……え?だって、大崎と付き合ってるんじゃ――」


「そ、それは誤解なの……。今日はその誤解解きたかったのに、無視されるし……」


う……。どんな顔して話せりゃいいのかわかんなかったんだよ。



「ごめん」


「結月とは、ちょっと前に別れた。私から言ったの、別れようって」


なんだ……そうだったのか。



「これが、私の返事だよ。唯人は、私のこと好き……?」



そんなの――



「好きだよ。大好き。中学の時から、ずっと」


気づかれてなかったけどな……と付け足す。



「だって、す、好きだなんて言われてないし……」


花恋の顔が真っ赤すぎて自然と笑ってた。



花恋なら、そんなことだろうと思ってたけど。……すげえ鈍感だし。




「好きだよ」


「わ、私もだよ……っ」




「一生、幸せにするから」


「……っ」


そして、温かいキスをした。