*


その日の夜、朱莉に結月のことを伝えた。


『よかったじゃんっ!』


「う、うん、ありがとう」


『いやいや、結局行動したのは花恋だよ。私は相談に乗っただーけ』


そういうところは朱莉ぽいっちゃ朱莉っぽい。


でも私はすんごく感謝してる。朱莉の言葉がなかったら、

唯人のことまた後悔してたかもしれないし。



「でも、唯人に、こ、告白なんてっできないよ……」


『はぁぁぁ?今更何言ってんの?!そんなんじゃまた後悔するって!だーかーら、また石川が転――』


「あーーーー!言ったらそうなっちゃうかもしれないんだっつのっ!!」


朱莉ったら。そんなところも朱莉っぽいけど。



『ほら、その勢いで告っちゃえっ』


「うぅ……。頑張る」



*


「おー!花恋?!久しぶり〜〜!!会いたかった……!」


「え、ゆ、夢愛?!……夢愛ぁぁぁっ、会いたかった!」


次の週の学校からの帰り道、偶然夢愛に会った。

そして、抱きついた。



「――二人とも、俺のこと忘れてね?」


「あ、春樹!元気してたー?」


「まあな」



「そういえば二人がこうやって帰ってるの、はじめて見た」


「中学の時は恥ずかしがって夢愛が一緒に帰らせてくんなかったからなー」


「そ、それは春樹のほうだってばっ!」


夢愛、顔真っ赤だよ。



「そーいや、如月は大崎と順調?」


「最近別れたよ?――あ、あと、唯人が転校してきてs――」


「「え?!」」


“さ”と言い終わる前に二人が声を重ねて驚いた。


「それで、やっぱ唯人のこと好きだなって思って、結月と話したの」



「あーじゃあさ、今からどっか行かない?四人で」


「おーいいじゃん。私達連絡先知らないから、花恋よろしく」


たぶん私の話は右から左に流れてるよね?


……え、私が、誘う?


「無理無理無理!」


「いーからいーから」


「せっかくだし?」



うぅ……。




『もしもし?』


「ゆ、唯人?」


『うん、俺だけど』


「今ね、夢愛と春樹に会ったんだけど、せっかくだしどっか行かない?ってなって……唯人は、行かない?」


『お。楽しそうじゃん。行く行く』


「じゃあ、あの駅で」


『りょーかい』



「花恋すごい緊張してたね」


「だ、だって……ねぇ」


「まあ、俺も修学旅行のバス座席決めのとき、緊張したな」


「そう?いつも通りじゃなかった?」


「そー見えるように頑張ったんだっつの」


「やっぱ夢愛って鈍感ー」


「ちょ、それは花恋には言われたくないっ」


わ、私にはって……まあたしかにそうかも。



「まあ、今日はせいぜい頑張りな」


「俺たち空気読むからな。そこらへん任せとけよ」



この二人がかっこよすぎる……。



よぉーし、

「頑張る!!」