*


「結、月っ!」


「花恋!言ってくれれば止まったのに!」


「いいのいいの。私が追いかけたくって来たんだから」


まだ納得いってない様子。でもかわいいからいいや。



「結月、まずね、昨日のことなんだけど……」


「昨日?」


「うん。女子と帰ってたよね?」


「あぁ、萌香(もか)のこと?幼馴染だよ?」


「ほんと?好きなんじゃない?」


特にその、萌香ちゃんは。


「えっ、俺が好きなの、花恋だよ?……萌香から告白されたことはあるけど」


「ほんとに?それで、私のことなんだけど――」


「ちょっと待って。まさか再会した初恋の人のことやっぱ好きなんですとかじゃないよね?」



え……その通りです……。ていうかなんでそれを?!


「聞いたんだよ、噂。二年生でイケメンが転校してきたって。しかも俺らと同じ中学。……まさか、って思ったけどね」



「ごめん、結月……。ほんと、ごめっ、ん……」



泣いちゃダメだって、思ってた。でも、泣いちゃった。結月、困らせてごめん。


結月にふわっと包まれる。


「花恋。俺にとって、花恋の幸せが一番だから。……俺だって幸せにできる自信はあったけど。それに、ほんとはわかってたよ、花恋は俺のこと好――」


「ううん、好きだよっ!!
こんなの言われても困るかもしれないけど、唯人とは違う気持ちだけど、好きだよっ!
結月が、好きなのっ、好きなの!」



「わかった、うん。わかった。ちゃんと好きでいてくれてたんだ。――今まで、ありがとう」


最後の一言でまた涙が溢れだす。


ニュアンス的に、お別れ、ってことだよね……。



わかってる……。わがままだってわかってる。……でも、結月ともう何の関係もなくなっちゃうのは嫌だ……。


「――あのさ、友達っていうのはダメ……?」


「わ、たしもっ、友達、でいたい……っ」



結月、こんな最低な私を好きになってくれてありがとう。


好き、だったよ。