「えーっと、」 小説のタイトル……何だったっけ? あ……『 』だ。 ふと思い出したタイトルの本は、本屋の中でも出入口近くの目立つところに、たくさん置かれていた。 わりと知名度のあるコンテストの、大賞受賞作品だからかな? お目当ての本を手に取り、俺は自然と口角が上がる。 「真宙が言ってたの、これ? 文庫本なら、俺も試しに買って読んでみるかな」 俺と朝陽はふたりで同じ文庫本を手にし、レジへと向かうのだった。