「拭いてくれて、ありがとう。七星ちゃんは、優しいね」 「真宙くんのほうこそ……くしゅんっ!」 あたしは思わず、くしゃみが出た。 ああ、せっかくの良い雰囲気が台無しだ。 「七星ちゃん、もしかして寒い?」 「少し……」 雨が降り出して、すぐに軒下に避難したから。 雨にはそこまで濡れずに済んだけど。 先ほどから時折吹く風が冷たくて、肌寒い。 そのあとも何度か続けて、あたしはくしゃみが出る。