鎧のようなスーツを脱ぎ捨てて、ブラとパンツだけの姿でビールを煽っていたのは覚えている。
無数の空き缶が散乱している。

ふわふわしてて、気持ちがいいな〜と思いながら、天井を見ていると……。
「おーい、大丈夫かー」
と、この時はまだ恋人であり、別の家に住んでいた颯太が覗き込んできた。
「あー?そうくん?どうしたの?」
「どうしたのじゃない!」
険しい顔で、颯太が私に怒鳴り始めた。
「何なんだよ、これ!」
普段は何をしても怒らない颯太の怒り顔を見るのがなんだか面白かった。
「見ればわかるじゃん。晩酌。そうくんも、一本どうですかー?」
私が「よっこいしょ」と体を起こして、冷蔵庫からビールの缶を取り出すと、颯太が私からそれを奪った。
「もうやめろ。身体、壊すぞ」
「私なんか、死んだって誰も悲しまないもーん」
「何言ってんだよ」
「皆ね、私のこと大っ嫌いなんだって。笑っちゃうよねーほんと」

自分の言葉で、自分を傷つけた。
人肌が恋しくなり、私は颯太に抱きついた。
こうすると、颯太が頭を撫でてくれるのだ。
「何か、あったのか?」
と聞く颯太に答える替わりに、颯太のワイシャツのボタンを外す。