――一方、レイニードとの望まぬ再会をしてしまったマリアベルは。

やれやれ、今日は次から次へと舞い込んでくる日だ、と毒づいたため息を吐きそうになっていた。

レイニードとはあの一件以来、会話するどころか顔も合わせてはいなかった。
最後に姿を見かけたのは学園の卒業パーティーだろうか。人ごみの中で話をしているレイニードを遠巻きから少し覗いた程度。
それ以降は城の警備にあたっていても、一般の貴族が立ち入らない場所の任務だったことや、城での夜会もマリアベル自身はほとんど参加しなかったため、会うことはなかったのである。

それなのに、よりによって今日再会してしまうとは。


あの頃から顔だけは良かったレイニードだったが、6年という歳月を経てより洗練され、その美しさに磨きがかかっている。
だがその美麗な表情の中に潜む人を見下すような視線を、マリアベルは即座に感じ取った。

(ああ、そうだ。この感覚だ)