ジークウェルトの言葉に、レオンハルトが反応し立ち上がった。
その勢いで椅子がガタっと大きな音を立てる。

「ジーク!」

「ダメ?出会い目的の夜会でもないパーティーといったら相手がいなきゃ話にならないじゃない。それにいざとなったらあの子も動けるわけだし。騎士だけれどマリーちゃんだけ令嬢として参加するのはおかしいことじゃないでしょ?」

「いや、しかし」

「レオンハルト殿、今は王の御前であります。少し慎みなさい」

反論したいレオンハルトであったが、リード公爵に窘められ渋々椅子に座りなおした。

どうやらレオンハルトはマリアベルを参加させたくはなかったようだ。この話は会議室内にいる面々だけが知る最重要事案である。言わば重責な任務を、一般の騎士であるマリアベルに課すのは酷なことだと考えたのだろう。

そんなレオンハルトの想いをジークウェルトはすでに読んでいた。
くすくすと小さく笑いながらレオンハルトを見やる。

「心配しないで第二騎士団長サマ。この話はあの子には知らせないわ。あの子のことだもの、この話を知ったらそういった目で参加者を見るだろうしね。あくまで『国王サマからお披露目パーティーがあるから参加するようにとの命があった』、という体でアタシと同行してもらうようにするの。それならいいでしょ」

「うぐ……」

「大丈夫、アタシがいるから。ね、国王サマもそれでいいかしら?」

「そなたが言うのなら問題なかろう。そのように」