「行動を起こしそう、とは」

第一騎士団長が公爵へ問う。

「10日後に第一王女様のお披露目パーティーが開かれます。そこで何やら画策しているのでは、という情報が入りました。詳しいことは分かりません。ラファン公爵も影の存在は知っておりますゆえ、際立った行動はしませんので」

「この話も確かなものではない。そもそもラファン公爵が反体制派であることも不確かな今、こちらも表立って行動するわけにはいかぬのだ。が、しかしそう言った話が少しなりとも耳に入るとなれば、密かに対処はせねばなるまい。あちらに感づかれぬようにな」

国王はどうやら確かな証拠を手に、ラファン公爵を落とし込みたいようだ。
不確かなもので手を下せば、国民からその対応への不満が少なからず出てくるだろう。その小さな不満の灯は、やがて新たな争いの灯となる。

国王はそれを危惧しているのだった。

「つまり、あっちが粗を見せるまで泳がしておきたいってことよね?国王サマ」

ここでジークウェルトが口を挟んだ。
国王は頷きながら話す。

「そうだ、多少危険ではあるが推測だけで事を荒立てたくはない。パーティーでの警備はいつも通りだが、参加者として数人紛れ込ませて警備を願いたい。騎士団の面々は多少なりとも顔が知れているゆえに魔術師団の力を借りたいのだがいいだろうか」

「分かった、お安い御用よ。元がが貴族の魔術師を何人かと、今回は私も参加することにするわね。……ああそう、アタシの専属騎士ちゃんも同行させていいかしら?あの子元々は伯爵令嬢だし、その相手役としてアタシも参加する形で行きたいんだけど、いい?」