「……おっけ、ちょっと殴ってくる」
「いやいやいや待て待て、加減があるじゃん」
「お前がいいって…」
「さりげなく共犯にしないでくれる?」
「えー」
「えーじゃねえの。紘、よく聞けよ?人間には言葉を話すための脳と口があるのね。いい?人はなんで話し合いをすると思う、怪我したくないからだよ」
「何の話」
「道徳の話だわ」
木暮は語り出すと長いから嫌いだ。「おっけーわかったわかった」と適当に流し、ガタリと席を立つ。
「まじで手は出すなよ」と苦笑いで言われたので、さすがにさっきのは冗談だよ、と返しておいた。
「雪永さんと毎日同じ教室で同じ空気吸ってるのが奇跡っつうかさ」
「足細いよなー。スカートあと2捲りくらいしてくんねえかな」
「うわ、つうかお前なにネクタイしっかり締めてんだよ。まじで雪永さんに告る気かよ」
「いやいやそりゃ、フリーのうちに…………お?紘じゃん」
「どしたぁ、俺らになんか用………、って…」



