仁菜子がこんなにも饒舌に話す瞬間があっただろうか。
結果的に仁菜子が処女かどうかという結論は得られたけれど、もう二度とデリカシーのない発言はしないようにしようと決めた瞬間だった。
「そら紘が悪いわ」
「…、元はと言えば木暮が……」
「うわわわわー人のせいにすんの最低だよモテないよ紘くん」
「お前今日も絶好調でうぜぇのな」
今は昼休み。木暮はフルーツジュースと焼きそばパンを食べていて、おれはコーヒー牛乳とメロンパンを食べている。
「あ、雪永さんだ」
「今日も可愛すぎる無理可愛い眩しい」
「あれ?でもなんか今日いつもより可愛さ増してねぇ?」
「バッッカ、雪永さんは日々可愛いを更新してってんだよ」
「そうだった。ファンとしたことが〜〜」
「あー。まじで、今日こそ告白しよっかな」
仁菜子と付き合って一日目。
今朝も一緒に登校はしたものの、毎日のことなので誰も違和感など感じないだろう。
おれたちが幼なじみではなく"彼氏と彼女"になったことは、まだ木暮以外には知らせていない。



