悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

リシュタルトはそれきり黙り込んでしまい、空気がますます重くなる。

そこで曲が終わった。ダンスをする人々が交代する時間である。

すると突然リシュタルトが立ち上がり、ナタリアに向かって手を差し伸べた。

「ナタリア、俺と踊ろう」

ナタリアは、自分の耳を疑う。

今、ありえないセリフを聞いたような――。

返答に詰まっていると、じれたように手を引かれ、広間の真ん中に連れ出された。

リシュタルトは、緊張でカチンコチンのナタリアと向かい合って立つ。

「今から練習しておけば恐れることはないだろう」

「でも、私はまだ十三歳になっていないので……」

「俺を誰だと思っている? この国の皇帝だぞ。お前が今から踊ることを特別に許可してやろう」