悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

静まり返っていた広間に、ザワッと衝撃が走る。

「あの皇帝陛下が、笑みを浮かべられたぞ!」

「あんな優しそうな笑い方ができるお方だったなんて、知らなかったわ」

ヒソヒソと囁かれる人々の声。

「ダンスは? 踊らないのか?」

「私は社交界デビューがまだですので、踊れません」

この国では、十三歳になって社交界デビューしないと、女性は公の場で踊れないという決まりがある。

「そうだったか。そういえばそんな規則があったな。それでは、ともに眺めよう」

リシュタルトはナタリアの手を引いて、玉座に向かった。

従者たちが慌ててナタリア用の椅子を用意し、ナタリアもちょこんと隣に腰掛ける。

再び演奏が始まると同時に、人々もダンスを再開したが、誰もが玉座にいるリシュタルトとナタリアに意識を向けていた。