レオンはというと、令嬢たちにひっきりなしに色目を使われ、次から次へと踊っている。
まだ六歳のナタリアは、もちろんダンスの誘いを受けることなく、隅の椅子で暇を持て余していた。
だが、いよいよダンスタイムも佳境というときに、突然入り口の扉が大きく開かれた。
瞬間、その場にいた人々は一同に息を呑んだ。
皇帝リシュタルトが、黒いマントを翻しながら、颯爽と中に入ってきたからである。
「うそ、皇帝陛下だわ!」
「パーティーにいらっしゃるなんて珍しい……!」
静かな室内にコツコツと響く、リシュタルトのブーツの音。
曲を奏でていた演奏者もダンスをしていた人々も、ひとり残らず中断して、彼に向かって頭を下げている。
その真ん中を、当然のように堂々と歩むリシュタルト。
(これがお父様の威力……)
人々が一斉に彼に向かって首を垂れる情景は圧巻だった。
泣く子も黙る獣人皇帝リシュタルトの存在は絶対なのだということを、ナタリアは今さらのように思い知る。
突然彼が遠い人になってしまった気がして、胸が痛くなった。
リシュタルトは玉座に向かう途中で立ち止まり、なぜかゆっくりと辺りを見渡している。
隅にいるナタリアとばっちり目が合うなり、リシュタルトは迷わずこちらへと歩んできた。
「ナタリア、こんなところにいたのか」
リシュタルトが、目の前で新しいドレスに身を包んでいるナタリアを眺めるなり、目に見えて口元を綻ばせた。
まだ六歳のナタリアは、もちろんダンスの誘いを受けることなく、隅の椅子で暇を持て余していた。
だが、いよいよダンスタイムも佳境というときに、突然入り口の扉が大きく開かれた。
瞬間、その場にいた人々は一同に息を呑んだ。
皇帝リシュタルトが、黒いマントを翻しながら、颯爽と中に入ってきたからである。
「うそ、皇帝陛下だわ!」
「パーティーにいらっしゃるなんて珍しい……!」
静かな室内にコツコツと響く、リシュタルトのブーツの音。
曲を奏でていた演奏者もダンスをしていた人々も、ひとり残らず中断して、彼に向かって頭を下げている。
その真ん中を、当然のように堂々と歩むリシュタルト。
(これがお父様の威力……)
人々が一斉に彼に向かって首を垂れる情景は圧巻だった。
泣く子も黙る獣人皇帝リシュタルトの存在は絶対なのだということを、ナタリアは今さらのように思い知る。
突然彼が遠い人になってしまった気がして、胸が痛くなった。
リシュタルトは玉座に向かう途中で立ち止まり、なぜかゆっくりと辺りを見渡している。
隅にいるナタリアとばっちり目が合うなり、リシュタルトは迷わずこちらへと歩んできた。
「ナタリア、こんなところにいたのか」
リシュタルトが、目の前で新しいドレスに身を包んでいるナタリアを眺めるなり、目に見えて口元を綻ばせた。



