リシュタルトの戴冠二十周年記念パーティー当日。
話題の店で仕立てたドレスを着たナタリアは、姿見の前で、アビーとドロテに大げさに褒めたたえられていた。
「まあ、なんて可愛らしい! いつも可愛らしいですが、間違いなく今までで一番です!」
「これほど可愛らしい王女がこの世に他にいるでしょうか!」
薄い黄色のドレスは高めの位置に切り替えが入っており、何重にも重ねられたレースが、まるで花が咲き誇るようにスカートを形作っていた。
スカートの表面を覆う薄いレースには、緻密な黄色の花模様と緑のツタ模様が縫い込まれ、袖部分にも同様の刺繍が縫い込まれている。
腰まで伸びた茶色い髪は高く結い上げられ、この日のためにリシュタルトが用意してくれたシルバーのティアラが飾られている。
イエローダイヤで装飾された煌びやかなそのティアラは、まるでドレスの色に合わせて作ったかのようにぴったりだ。
エスコートは、兄レオンがすることになっていた。
ナタリアがアビーとドロテを伴って螺旋階段を降りていくと、玄関ホールでレオンが待ち構えていた。
レオンはナタリアを見るなり凍り付いたように固まり、その後、自らの金髪をグシャグシャにしながら喚く。
「あああ、もう! 僕の妹はなんてかわいいんだ! どうしたらいい!? 僕はどうしたらいいんだ!?」
「レオン様! せっかく御髪を整えたのに、そんなことをなされては台無しではないですか!」
付き添いの爺やにきつくお叱りを受けていた。
いかにも王子といった金の前飾りが連なった紺色の胴衣に、白のトラウザーズを着ているレオン。
「お兄様、私、初めてのパーティーで緊張してるんです」
ナタリアが弱気な声を出すと、レオンがきりりと精悍な顔をする。
「大丈夫だナタリア、僕がいる。パーティーなんてどうってことないよ。お前は可愛いから注目を浴びるかもしれないが、周りの人間は芋とでも思っておけ」
話題の店で仕立てたドレスを着たナタリアは、姿見の前で、アビーとドロテに大げさに褒めたたえられていた。
「まあ、なんて可愛らしい! いつも可愛らしいですが、間違いなく今までで一番です!」
「これほど可愛らしい王女がこの世に他にいるでしょうか!」
薄い黄色のドレスは高めの位置に切り替えが入っており、何重にも重ねられたレースが、まるで花が咲き誇るようにスカートを形作っていた。
スカートの表面を覆う薄いレースには、緻密な黄色の花模様と緑のツタ模様が縫い込まれ、袖部分にも同様の刺繍が縫い込まれている。
腰まで伸びた茶色い髪は高く結い上げられ、この日のためにリシュタルトが用意してくれたシルバーのティアラが飾られている。
イエローダイヤで装飾された煌びやかなそのティアラは、まるでドレスの色に合わせて作ったかのようにぴったりだ。
エスコートは、兄レオンがすることになっていた。
ナタリアがアビーとドロテを伴って螺旋階段を降りていくと、玄関ホールでレオンが待ち構えていた。
レオンはナタリアを見るなり凍り付いたように固まり、その後、自らの金髪をグシャグシャにしながら喚く。
「あああ、もう! 僕の妹はなんてかわいいんだ! どうしたらいい!? 僕はどうしたらいいんだ!?」
「レオン様! せっかく御髪を整えたのに、そんなことをなされては台無しではないですか!」
付き添いの爺やにきつくお叱りを受けていた。
いかにも王子といった金の前飾りが連なった紺色の胴衣に、白のトラウザーズを着ているレオン。
「お兄様、私、初めてのパーティーで緊張してるんです」
ナタリアが弱気な声を出すと、レオンがきりりと精悍な顔をする。
「大丈夫だナタリア、僕がいる。パーティーなんてどうってことないよ。お前は可愛いから注目を浴びるかもしれないが、周りの人間は芋とでも思っておけ」



