悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

ダスティンの顔から、スッと笑みが消えていく。

ナタリアは身の危険を感じ、ヒュッと息を呑んだ。

そのとき、ナタリアとダスティンの間に突風が吹き荒れる。

大きな銀色の狼が、ナタリアをかばうようにして目の前に立ちふさがり、ダスティンに向かって鋭い牙をむき出した。

(お父様……!)

「なんだ、この狼は?」

突如現れた狼に圧倒され、ダスティンが一歩後ずさる。

どうやら彼らは、この狼がリシュタルトであることに気づいていないようだ。

リシュタルトはよほどのことがないと獣化しない。

そのため、彼の獣化した姿を知っているのは近しい一部の人間だけなのだ。

「早く撃て!」

ダスティンの命令を受けて、村人たちが次々と狼に向けて発砲する。

だが狼はひらりと弾を交わし、銃を持っている村人たちの腕に次々噛みついた。

「うわあぁぁぁっ! 噛まれた!」

「なんだこの狼はっ! バケモノみたいに強いぞっ!」