悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

ナタリアは泣きながら子ドラドを胸に搔き抱き、大木の木陰に身を潜めた。

「見ろ、やはり命中してる!」

「近くで見るとかなりの大物だな。こりゃ相当な金になるぞ、早くダスティン様に知らせよう。皇帝に気づかれないうちにどこかに隠すんだ」

「急にドラドがいなくなったら、皇帝が不審がらないか?」

「山から勝手にいなくなったと言えばいい」

男たちの声を背中越しに聞きながら、ナタリアは大木の陰でやるせない思いをかみ殺していた。

「そういやドラドの子供はどこに行った?」

「逃げたんだろう。だがまだ子供だ、その辺にいるかもしれない。子ドラドはさらに高値で売れるからな、逃がすんじゃないぞ!」

男たちが茂みを掻き分け、辺りの散策を始める。

子ドラドとともにいるナタリアが見つかるのも、時間の問題だった。

(どうしよう……)

「クウ―」

うずくまるナタリアの腕の中で、子ドラドが悲しげな声を上げた。

ナタリアはハッと身を凍り付かせる。

「鳴き声がしたぞ! こっちだ!」

逃げようとしたが、時すでに遅かった。

あっという間に男のひとりに木陰に回り込まれてしまう。