悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

それからのナタリアは、リシュタルトの来訪を待ちわびた。

だが、リシュタルトは一向に現れる気配がない。

考えてみれば、生まれてから一度も彼に会ったことがない。

(あれ? 思った以上に嫌われてる?)

「それにしてもリシュタルト様は、ナタリア様を一生この離宮に閉じ込めるおつもりなのかしら?」

積み木を高く積み重ねながらナタリアが考え込んでいると、世間話中のドロテとアビーの声がした。

ナタリアはぴくっと耳をそばだてる。

「きっと、お顔も見るのも嫌なのよ。憎き王妃様が不貞を働いた末に生まれた子供ですもの。獣人族にとって番に裏切られることは、心臓を引き裂かれるのと同じ苦しみなの。処刑されたのはお気の毒だけど、悪いのはすべて王妃様なのよ」

茶色の耳をぺたんとさせながら、獣人侍女のドロテが言う。

(……へ? 不貞!? 処刑!?)

とんでもないゴシップネタに、ナタリアは頭をカチ割られたような衝撃を受けた。