悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

(なんてこと……!)

「だが今回のドラドは、ラーの花の紛薬を使って意識を錯乱させても捕獲できなかったんだぞ。ラーの花は人の何倍も獣に効くはずなのにな。以前のドラドよりずっと手ごわい。今夜のうちに捕まえることなんてできるのか?」

「捕獲するんじゃない、撃ち殺すんだ。ドラドは死んでも高値で売れるからな。まあ、生きているより額は落ちるが」

恐ろしい話の内容に、ナタリアは身震いした。

(お父様がラーの花の香りがするとおっしゃっていたのは、そういうことだったのね……)

本来は大人しいはずのドラドが獰猛化したのは、村人たちに何度も乱獲されそうになっていたからだった。

ドラドは村人を恐れ、怯えていたのである。

獣の命を人間の私利私欲のために利用するなんて、あってはならないことだ。

ナタリアの小さな胸に、ふつふつと怒りが沸き起こる。

(絶対に助けてあげなくちゃ!)

固く決意すると、ナタリアはドラドのいる山に向けて夜道を急いだ。