悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

瞳をうるうるさせて見上げると、リシュタルトは三白眼の目を見開き、それから考え込むように口元を手で覆った。

宵闇の中で、彼の銀色の尻尾が戸惑うようにゆさゆさと揺れている。

「だが……」

「お願いです、お父さま」

「――分かった」

リシュタルトはため息のような唸りのような声を出すと、遠慮がちにナタリアと同じ布団に入り込む。

ナタリアはこちらに向けられた彼の背中にぎゅっと抱き着いた。

彼のもふもふの尻尾が、ちょうどおなかの辺りに当たって気持ちいい。

(あ~、もふもふ最高だわ)

「お父さま、おやすみなさい……」

もふもふの癒しを堪能していたら、本当に眠くなってきた。

雷のせいで寝つけられなかったが、今はかなりの深夜である。三歳児の体力は限界を迎えつつあった。

リシュタルトの背中に顔を押し当て、むにゃむにゃするナタリア。

小さな寝息が聞こえてきたところで、リシュタルトはようやくナタリアの方に体を反転させた。

「――おやすみ、ナタリア」

すでに眠ってしまったナタリアは、リシュタルトが初めて名前を呼んでくれたことを知らない。