ナタリアの中の大人の部分は今の状況に困惑していたが、子供の部分は素直にホッとしている。
彼がいれば、きっと大丈夫。
ゴロゴロうるさい得体のしれない雷だって、もう怖くはない。
遠ざかるドアの向こうから、クーンクーンというロイの寂しげな鳴き声がする。
「お父さま」
リシュタルトのシャツの胸元を、ナタリアはぎゅっと掴んだ。
「どうした?」
「ロイも連れて行ってはダメですか? ロイもお父さまといた方が安心だと思うのです」
リシュタルトは足を止めると、腕の中のナタリアをまじまじと見つめた。
「……お前は、俺といると安心すると思っているということか?」
「? もちろんです」
何を当たり前のことを、とナタリアがきょとんと首を傾げると、リシュタルトの頬がほんのり赤くなる。
初めて見る照れているような表情に、ナタリアはくぎ付けになった。
「いいだろう。ロイも連れて行こう」
リシュタルトはいったん引き返すと、ロイの部屋のドアを開け放つ。
「ワンッ! ワン、ワンッ!」
すぐにロイが飛び出してきて、嬉しそうに尻尾をパタパタと振りながらリシュタルトの足元をぐるぐる回り始めた。
彼がいれば、きっと大丈夫。
ゴロゴロうるさい得体のしれない雷だって、もう怖くはない。
遠ざかるドアの向こうから、クーンクーンというロイの寂しげな鳴き声がする。
「お父さま」
リシュタルトのシャツの胸元を、ナタリアはぎゅっと掴んだ。
「どうした?」
「ロイも連れて行ってはダメですか? ロイもお父さまといた方が安心だと思うのです」
リシュタルトは足を止めると、腕の中のナタリアをまじまじと見つめた。
「……お前は、俺といると安心すると思っているということか?」
「? もちろんです」
何を当たり前のことを、とナタリアがきょとんと首を傾げると、リシュタルトの頬がほんのり赤くなる。
初めて見る照れているような表情に、ナタリアはくぎ付けになった。
「いいだろう。ロイも連れて行こう」
リシュタルトはいったん引き返すと、ロイの部屋のドアを開け放つ。
「ワンッ! ワン、ワンッ!」
すぐにロイが飛び出してきて、嬉しそうに尻尾をパタパタと振りながらリシュタルトの足元をぐるぐる回り始めた。



