悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

「おや、よく知ってるね。ナタリアは賢いな。でも、獣化は獣人なら誰でもできるわけではないんだよ」

「そうなの?」

「うん。ちなみにこの城にいる獣人で獣化できるのは、父上と僕だけだ」

ナタリアは、ハッとする。

(あの狼はお父様だったのね)

モフ番のクライマックスで、リシュタルトが獣化するシーンも出てきたことを思い出す。

リシュタルトは銀色の狼に獣化していた。

ちょうど、ナタリアが一歳の時に出会ったあの狼のような。

(そういえば……)

記憶を辿ったナタリアは、モフ番のラストあたりで、何らかの泣けるシーンがあったことを思い出す。

(すごく重要なシーンだった気がする。でも、どんなシーンだったっけ……?)

林道を抜けると、青々とした芝生が広がっていた。

細い小川が流れ、ピクニックには最適である。

どこからともなく、馬の嘶きが聞こえる。